零戦

「風立ちぬ」を見て、主人公のモデルとなった堀越二郎氏のことをもっと知りたくなって著書を読みました。

堀越氏は言わずと知れた零戦の設計技師。パイロットの話は読んだこともありますが(そういえば「永遠の0」も)、設計者の話は初めてでした。
デジタル技術もコンピュータも無い時代、”強度負担に応じた段階的な剛性”とか”速度域に応じて反応が変化する操縦系統”など、その基盤となる技術が生まれたプロセスを垣間見るようです。
同時に最強の戦闘機を生み出した技術者としての妙理と人としての苦悩がうずまき、人生観をも考えさせられてしまいます。
諸外国に相当遅れていたはずの航空機技術がなぜ一気に最高峰へ躍り出たのか、不思議にも思っていましたが、読み終えて一つ感じることがありました。設計チームに高度な知識や絶え間ない努力があったのはもちろんですが、堀越氏には理念や使命感をも超えた強烈な”美学”があったことです。
正しいかどうかではなく、美しいかどうか。価値観を表す最上位の基準。不可能とも思える目標を実現させるには必須のものではないでしょうか
エンジニアや理系学生には是非読んでほしい本です。

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