開発中の低酸素インキュベータ、ケースの中に納まったものが出来上がりました。
特長はなんといってもリザーバーを設けたこ0と。ここに脱酸素剤を入れて低酸素ガスを発生・濃度調節し、高気密性の培養チャンバー内に強制循環させます。
従来の低酸素インキュベータは培養チャンバーへ窒素ガスを垂れ流して酸素を追いやって低酸素状態にしていたので、相当な量の窒素ガスを消費します。しかし、この装置では窒素ガスいやさガスボンベ自体が要らないのです。脱酸素剤は消耗品ですが、ガスボンベを扱うより遥かにお手軽です。装置も非常にコンパクトになりました。
一番最初は機能試験用の内臓剥き出しプリミティブタイプでしたが、商品開発用のプロトタイプが出来たことでやっと全貌をお見せできます。
スタートしたのがGW明けの5月半ばなので、半年足らずでここまで来ました。ブラスト社の開発スピードは恐ろしく早いのです(なぜなら”稟議””が無いから)。
とはいえ部材をケースに無理やり突っ込んだ感が否めず、肝心の性能(気密性やガス濃度)が維持できなくなったので、これから改めて調整していきます。調達費用が跳ね上がったのでコストダウンも思案のしどころだし、ケースに入れたことで新たな課題も出てきました。でも見た目が商品っぽいと開発モチベーションも増大です。
明日からバイオジャパンがパシフィコ横浜で始まります。流石にまだお披露目は無理なので写真右側の培養チャンバーだけの参考展示だとしても、説明のリアリティ度が段違いです。
おりしも本庶先生のノーベル賞が超ホットな話題。癌の免疫抑制作用には低酸素状態(ハイポキシア)も大きく影響していますから、培養環境を手軽に再現できる(当然ながら顕微鏡に載せてタイムラプスも!)となればニーズは増えるでしょう。
11月の「がんとハイポキシア研究会」で動くものを初展示できるよう頑張ります。