iPS細胞研究の特集をテレビ番組で見ました。iPS細胞は京大の山中教授が始めた万能細胞ですが、アメリカが巨費を投じて新しい治療方法へ応用を進めているという内容でした。ガラスヒーターを培養・解析アプリケーションとして切り込もうとしている分野なので、思わず正座してかぶりつきで見てしまいました。
※流路チップを換装すると細胞培養のリアクターになります
せっかくの日本オリジナルが競合アメリカに遅れを取りそうだという警鐘にもなっています。確かに起業してからもアメリカの案件は日本の十倍も話が早く進むと実感してます。権威や実績よりリスクテイクを潔しとするお国柄。
しかし個人的には、競合よりも脅威が直ぐ隣、中国から迫っていると感じています。今や欧米の製薬企業はこぞって中国に研究所を設立し、日本も多くのCRO(臨床受託機関)が中国現地法人を設立しています。
最大の理由は治験費用と期間の効率化。賄賂やりたいほうだいだった中国の医療行政も長官を処断!?して急速に国際規格へハーモナイズしています。つまり中国で治験OKなら(法的には)世界に通用するし、それでいて費用と期間は国際相場の3分の1以下。
ブラスト社のハイパーサーミアが一時休止になった背景にも、ユルユルだったはずの治験基準がいきなりFDA(アメリカにおける厚生労働省)並みになったことがあります。
中国政府も意識して世界の医療技術を呼び込もうとしている節があります。今や中国ビジネスとは中国企業とのビジネスに限ったものではなく、中国をポータルとしたグローバルビジネスでもあります。
アメリカも中国も共通しているのは、高度で人命にかかわる医療分野へのリスクテイクとその敬意を惜しげもなく示していること。それに比べて我が国と言えば、政府物入りの某医療イノベーション室長ですら「日本じゃムリっっ」とシカゴに逃亡しちゃったくらいですから。
だけどだけど、羨んだりグチったりしてるほど暇ではない。自らの技術と気概を元手にし、世界相手へ体当たりで立ち回りする。それがベンチャーのベンチャーたる所以です。
コメント
公害も労働基準法も個人情報保護法も何も気にしないで商売できる国と取引しようとするのは、別の意味で将来的にリスキーだと思うのです。
まさに記事で喚起したかった事をピンポイントで付いてくれた、ナイスな質問です。
実際に現地で色々な中国企業とやりとりすると、"良くも悪くも"思い描いていたイメージとは全然違う姿がそこにあります。
一番の問題は、中国を批判する多くの人が取引きはおろか行った事すらないのにマスコミが恣意的に流す情報を全てだと思い込んで、ガラパゴス化してるのに気付かないこと。茹でガエルになって煮立っちゃう前に鍋から出ましょうwww
日本国内でさえ時間の感覚などが違うので、国が違えばもうすごい違い。建設業のお客様からも時々話を聞きますが、取引すると取り敢えずだまされるとか・・・。私にはそういうトラブルを一つづつクリアしていく気力と体力がありません。
でも、台湾さんとはお仕事したいと思う今日この頃です。
失敗した人は”騙された”ことにしがちなので(言い訳が立つから)、千三つに聞いたほうがいいです。何はともあれ現地に飛び込んで、自分自身の判断基準と価値観を磨くのが大事です。