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加温・熱制御のスペシャリスト

高体温臨床What's Hyperthermia?

ハイパーサーミアとは

【作用機序】温熱時の細胞への作用

 細胞組織に熱を加えたとき、正常細胞では血流が増加して熱を排出するとともに酸素を供給し、安定した状態を保ちます。しかし急激に増殖する癌細胞では血管の成長が未熟なため、熱が加わっても血流が増加せず、酸素不足に陥ります。同時に乳酸が蓄積し、pHが低下してアシドーシス(酸性)環境に傾きます。
 正常細胞に影響を与えず、癌細胞に壊死を起こさせる境界温度は、42℃とされています。ハイパーサーミアはその安全温度領域の差を利用した治療方法です。

【種類】

 ハイパーサーミアには局所加温と全身加温の2種類があります。弊社では全身ハイパーサーミアシステムの開発に取り組んでいますが、薬事未承認品につき販売しておりません。
 局所ハイパーサーミア  全身ハイパーサーミア
 マイクロ波などを用いて癌細胞を選択的に加温する方法です。保険適用となっており、複数の医療機関で治療可能です。しかし転移が見られる進行癌には適用が難しい場合もあります。  体温全体を上昇させた全身性の反応によるもので、進行性癌への適用と、その他治療方法との増強作用が期待できます。しかし保険適用にはなっておらず、自由診療です。

【開発の歴史】

 全身ハイパーサーミアは全身の体温を42℃弱まで上昇させて癌を治療する方法です。初期の加温方法は1970年代の温水加温から始まりました。しかし熱流束(単位面積における熱の移動量)が大きくて熱刺激が強いため、深い全身麻酔を必要とします。
 また、人工心肺を用いて血液を体外に循環させ、加温した血液を再び体内へ戻す体外循環加温方法が用いられていました。しかし感染症のリスクが高く、今では国内では用いられていません。
 現在は、軽い静脈麻酔を用い、赤外線波長を輻射するヒーターでの加温が主に研究されています。

全身ハイパーサーミア

新しい全身ハイパーサーミアシステム

【細胞外マトリックスのヒートショックリモデリング(正常細胞の増殖亢進)】

 臨床研究チームでは、施術後の患者血清中にコラーゲンの融解成分(1-CTP)が有意に検出され、癌細胞が転移をするときに放出するコラーゲン分解酵素(MMPs)が著しく減少する傾向を見出しています。癌細胞周辺の熱感受性を有するコラーゲンが40〜41℃で分解・再構築し、正常な細胞増殖を亢進させると共に、癌細胞のアポトーシス(細胞の自滅作用)を誘発させる仮説をたて、検証を進めています。

コラーゲンマトリクス

【VEGFの抑制(血管新生阻害)/MMPsの抑制(浸潤転移能の阻害)】

 また、同じく臨床研究チームでは、熱によるVEGF(血管内皮増殖因子)の抑制効果が研究されています。VEGFが加温直後に低下し、正常細胞はその後正常化するのに対して癌細胞は低下したままであるというものです。癌細胞は転移する際に組織を浸潤するとともに血管を新生し、血流に乗って運ばれていきますが、VEGFが抑制されることで癌細胞の血管新生が阻害され、転移を抑えることにつながります。

  熱による腫瘍細胞の血管新生阻害